2008年1月12日土曜日

安田寛『「唱歌」という奇跡 十二の物語』

「唱歌」という奇跡 十二の物語―讃美歌と近代化の間で 文春新書 (文春新書)
安田 寛
4166603469

「唱歌」の成り立ちをしっかり理解していないので、ハワイ、韓国、中国等々の状況と比較すると「日本の唱歌」はある種の「奇跡」だ、という話は、ほほー、と思った(3-7)。ただ、賛美歌を「高み」と呼び、私はその高みから唱歌の世界を覗いているのだ、という記述や常体と敬体の混合(ともにあとがき)があったり、全体的に突っ込みと深みが足りないという感想を持った。でもこの新書で唱歌の全体像を得られると考えるのが無茶なので、この新書は、唱歌の成り立ちには実は「賛美歌」が深く関わっていたこと、を教えてくれるものとして位置づけておくこと。「唱歌」全体の入門書にはならないけど、「唱歌」について勉強して、唱歌と賛美歌とのつながりについて考える時の横糸に使える本として考えておくこと。

けっこう焦点の合わせ方が偏っている気がする。唱歌の成り立ちに伊沢修二やメーソンが果たした役割の大きさがあまり言及されていない気もする。勿論されてないわけじゃないけど、これでは、「なぜ唱歌が要請されたか」ということが、あまり分からないんじゃないだろうか。ので、幾つかの背景的知識を自分で補いながら読まないといけないのだと思う。で、そういう読み方をすると、幾つかは、これ何だ?と思うものもあるけど、なかなか面白い章もあった。全部けっこうな速度で読める新書だった。最近新書ばっか読んでるなあ。

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