国内最古の京大「吉田寮」建て替え、大学側が計画案提示ほうほう。
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国内最古の京大「吉田寮」建て替え、大学側が計画案提示
京都大が寮生に建て替え計画案を示した「吉田寮」(京都市左京区で)
現存する学生寮としては国内で最も古く、かつては学生運動の拠点だった京都大の「吉田寮」(京都市左京区)について、大学側が寮生らでつくる自治会に対し、具体的な建て替え計画案を初めて示したことがわかった。
建て替え計画は30年以上進んでいなかったが、建築後1世紀近くたって老朽化、耐震性に懸念が出てきたことから、これまで大学側に反発してきた自治会も交渉に応じている。
京大関係者によると、吉田寮は1913年(大正2年)建設。木造2階建て3棟で定員約150人。現在の寮費は月約2500円で、自治会が運営や入寮者の選考などをしている。
大学の計画では、2010年度に寮西側の旧食堂棟を取り壊し、現在の寮生と留学生約180人が入居する「A棟」を新築。その後、寮を取り壊して「B棟」を新たに建て、全体の収容人員を約400人に拡充する。
このうち、A棟新築については、6月までの合意を目指す大学側に対し、自治会も「安い費用で住める寮の定員が増えるのは、ありがたい」と前向きで、寮費や入寮期限の設定などを巡って話し合いが続いている。
ただ、寮の取り壊しが前提となるB棟建設に関しては紆余曲折が予想される。「学生の安全が第一。ぜひ、実現したい」とする大学側に対し、自治会は「寮はライブや演劇の会場となるなど、学生の文化施設の役割を果たしてきた。愛着を持ち、残してほしいという声も大きく、建て替えは慎重に検討したい」としている。
吉田寮は、1960年代の大学紛争で闘争の主要な舞台となり、警察の家宅捜索を受けたこともある。建て替え計画は、在寮者名の確認や在寮期限の設 定などを求める大学側に学生らが反発、決裂を繰り返してきた。ところが、耐震性への懸念が大学内外から相次ぎ、大学側は昨年11月、改めて建て替えの意向 を表明。今年4月、計画案を示した。
(2009年6月1日05時27分 読売新聞)